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Orvis8.0feet


個人的には、Wesley JordanがOrvisで製作したBamboo(Impregnated樹脂を竹に仕込ませたロッド)
より古い初期の作品を手に入れたいと以前から考えていて、最近やっとの事で入手する事が出来ました。
8.0ft 3P3t,コンディションはフェアー、一部のヴァーニッシュを剥離して再ヴァーニッシュ、
コルクの交換程度でOKと当初は判断していました。



しかし、全体を繋いで竿を振ってみるとミシミシと音がすることに気が付きました。どうやらフェルールに
問題がありそうです。トップとミッド、ミッドとバットだけで繋いで再度振ってみるとトップのフェルールは
問題がありませんでした。しかし、ミッドとバットだけで振ってみるとミシミシと音が聞こえます。間違いなく
どちらかのフェルールに問題があります。同様の確認を何度もおこない、どちらのフェルールに問題が
あるのかを探りました。その結果、ミッドのフェルール部分を押さえながら振ってみると音が止まる事に
気が付きました。修理必要箇所はミッド下部のフェルールでした。
このロッドのレストアは先ずフェルールの修理をおこない、実釣可能な状態に近づけ、管理釣場でロッドの
調子を確認したいと考え、とりあえずフェルールの修理をおこなうことにしました。

修理の全体構想は
@フェルールのピンを綺麗に抜く方法を構築する。
A脱着後のクリーニングは、竹,フェルールともに十分おこなう。
Bフェルールの固定はエポキシ系のボンドを活用する。


フェルールのピンを抜くためには特殊なピン抜きと台座が必要です。この工具に辿り着くまで何度も
特殊工具店を訪ね歩き、やっと発見出来ました。フェルールには絶対に傷を付けられませんので、
ピンの上下にマスキングをおこないます。ピン抜きをピンへ正確に固定し、ハンマーで数回叩きピンが
押し出されている事確認します。ここまでの作業が特に慎重を要します。後はピンが落ちるまでハンマー
を叩くだけです。


ピンが抜けた後は、ヒートガンを使って接着剤を少ずつ溶かし始め、プライヤーでフエルールを外します。
今回はフェルールにキズが付かない様にソフトタッチプライヤーを使う事にします。ヒートガンを使い過ぎる
と竹が炭になってしまいますので、使用は最小限に留める必要があります。フェルールの脱着には10分
くらい要しましたが、無事に外す事が出来ました。


脱着後の竹のダメージを確認しましたが、問題ありませんでした。
ただし、クリーニングは必要です。竹はヤスリを使ってでこぼこ
を無くし、フェルールはアルコール洗浄を施しました。


フェルールの固定もいよいよ最終段階です。接着剤はこれまで何度も使用実績のあるエポキシ系の
ボンドを使います。ボンドは、フェルールからはみ出るくらい全体に多めに塗り竹とフェルールの隙間を
ふさぐ事が必要です。何とか無事にフェルールの脱着、再固定は完了しました。竹竿のレストアで
一番気を使う作業は、間違いなくフェルールのピン抜きです。この作業ミスを起こさない為の特殊なピン
抜きがなければこの作業は不可能だったでしょう。

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