コーティングは2回で仕上げます。1回目は1:1:6、2回目は1:1:4の配合に薄めてブランク全体にコーティングをおこないます。トップとミドル
セクション上部のフェルールは取り外してありますので、この部分には特に重点的に塗りました。それは、今後も接合部分から腐食おこさない
ために最善策からです。2日間乾燥させ、再度コーティングをおこないました。
コーティングが乾燥する間に、フェルールとフェルールの接合部分以外をNEVERDULLを使って錆びやクスミに磨きをかけておきます。
フェルールの再接合は、素早く硬化するDEVCONをプロショップでは推奨されているようですが、私はホームセンターで購入出来るエポキシ
接着剤を使用しています。費用は748円で、なかなかパフォーマンスが高い接着剤だと思います。実用強度10時間と記載されていますが、
念のために1日間乾燥させた方が良いでしょう。
さて、フェルールの再接着が完了し、ロッド繋いでフェルールの状態を確認してみると、トップとミドルセクションのきしみ音は消えていました。
しかし、バットセクションとミドルセクションとの接合部分からは新たなきしみ音が聞こえてきました。フェルールを手で押さえロッドを振りながら
問題のある箇所を調べた結果、ミドルセクション下部のフェルール内部にガタつきがあります。やっとフェルールの再接合が終わり「ほっと!」
していたのですが、再度のフェルールを取り外すことなり少々がっかりしてしまいました。理由がフェルールとピンの大きさから作業が更に困難
になることが予想されるからです。古いロッドのレストアで「フェルールの取外し・再接合」は一番困難を極める作業だと私は考えます。
しかし、このロッドのレストアが完了すると鮭釣りが待ってますので、我慢して再度フェルールの取り外し作業をおこなうことにしました。
先ずピン抜き作業ですが、いくらハンマーで叩いてもピンが抜けません。この硬さは前回の比ではありません。もちろん、ピンは1.25mmとトップ
のピンより0.2mm太く、長さも11mmと3mm程度長く、見た目ではかなり太く長く感じられます。結局前回のピン抜きは1時間、今回は2時間かか
ってしまいました。一方フェルールの取り外し作業ですが、ヒートガンで3分程度フェルールを熱し、ソフトタッチプライヤーの大型タイプでひねり
ますが全く動きません。10回ほど同じ事をおこなって指の皮が剥けそうになってしまったのでこの日の作業は中断しました。
翌週の初めより毎日1時間程度で作業を再開、ヒートガンで熱しては、プライヤーで捻りながら、ようやく3日目にフェルールが緩み始めて
来ました。本当にフェルールの取り外しは、根気の入る作業だと思います。その後、フェルールの接合部分の汚れをやすりで取り除き、
2回コーティング作業を施した後にエポキシ接着剤で再固定しました。
レストア作業を開始して2ヶ月、ようやくブランクが完成しました。ロッド全体を繋いで振ってみると、フェルールのきしみ音は完全に消えて
いました。ブランクのコーティングはハケで無事に塗ることも出来結果、全体が綺麗な光沢で覆われていました。
2009.10.24
・コルクグリップのシェビング、リールシートの磨き
コルク全体のコンディションには問題がありません。腐食はなく、表面が汚れてだけですので、昨年自作したコルクシェイパーを使って
表面を紙やすりで全体研磨する事にしました。作業は短時間で終わるのですが、研磨し過ぎるとコルクを交換しなければならないので
研磨の状態を何度も確認しながら作業を進めていきます。
コルクの研磨には紙やすり(#240〜2000)を使って仕上げていきます。先ず、#240で全体の汚れを落として、その後800,1000,1500,2000と
順番に番手を上げていきます。#240では汚れが綺麗に落ちますが、全体はざらざらな状態です。しかし、800番〜は表面をつるつる状態にまで
仕上げられます。完成後のコルクはまるで新品のような肌触りを実感する事が出来ました。ここまで作業時間は1時間強でした。
作業上に気を付ける点は、回転数を常に上げたり下げたり調整する事です。回転数が上がるとロッドがしなり始め、最悪破損することが考え
られます。また、左手で掃除機のノズルを持ち、右手で紙やすりを持っての作業ですので、万一の際にモーターのスイッチを切ることが難しいと
思います。しかし、私のシェイパーは足ふみペダルで回転数を調整出来るタイプなので、万一の際に、直ぐ回転数を弱める事が出来ますので、
この方法がベストだと思います。
次に、リールシートを磨く作業を開始しました。リールシートのさび・クスミは特に強く、このまま使うか磨きをかけるか迷う状態です。
このまま使うのも結構渋いかもしれません。さて、磨き作業は、@全体にNeverdullを使って徐々に磨き込んでいき、全体が完了してきた
段階で、Aラストリムーバーを使って更に磨きをかけていきます。最後の仕上げで、BCRC556を使って表面のコーティングをおこない、
今後のさび対策をおこなっておきます。今週の作業で、ブランク全体の作業がほぼ完成しました。残る作業は、ガイドのさびとコーティング後に
スレッドのッピングとエポキスコーティングで全体のレストア作業が完成させる予定です。
2009.11.05
・ガイドの修復
殆どのガイドは、さび・腐食がひどく、このままでは使えません。通常であればリプレイスを考えるのですが、
この当時のガイドは、
いわゆる「逆ひねりガイド」reverse twist guideですので、現在では入手が出来ません。以前、ビンテージのロッドクラフトとパーツ
扱っているアメリカのプロショップより取り寄せたことがあるのですが、使っているワイヤーの太さや、仕上げの状態が当時と異なって
いたので、新品はやはり期待出来ません。やむを得ず、さびたガイドをある程度補修して使うことにしています。
作業は、先ずルーターを使って大まかなさびを削り落とします。先端がワイヤーで出来たものが作業効率を上げると思います。その後、
#240、800程度の紙やすりで全体を滑らかにして、仕上げはNever-dullを使います。作業はそれほど複雑ではないのですが、12本の
ガイドを完成させるまでには3時間近くかかってしまいました。ここまでが第一段階です。
その後ガイドを黒く塗っていきます。ガイドにはモノフィラメントの先端にテープで止め、先ず黒いラッカーで2度塗っていきます。
Ant flyのラッカーコーティング用に20年以上も使っているものですが、少々粘度が高くなってきているので薄め液で柔らかくして使っています。
ラッカーは30分程度で乾燥しますが、半日後乾燥させてから2回目を塗っていきます。
ここまでが第二段階です。ラッカーは剥がれやすいので、乾燥後にウレタンコーティングを2回施します。コーティング剤は
ブランクに使うものと同じものですが、配合量を1・1・2と少々濃くしておきます。
これによりガイドに光沢が生まれ、ラッカーの剥げれを最小限に抑えてくれます。ただし、ガイドは、常にフライラインの摩擦にさらされます。
何年持つかはロッドの使用頻度によると思います。ちなみに、5年前に同じ方法で修復したガイドですが、未だに剥げてません。
2009.11.08
・ガイドのラッピング・コーティング(その1)
レストア作業もいよいよ最終段階となり、ガイドのラッピングとコーティングを開始しました。欠品のストリッピングガイドとトップガイドですが、
メノウガイドがジャストマッチしますので、一番大きめのガイドをジャンクパーツからリプレースを選んでおこなうことにしました。
ガイドはそのままの状態でラッピングをおこないません。まず、ブランクとの接合面をやすりで平らにしておきます。これにより、ラッピンングの際に
わずかな段の発生を抑えます。次に、やすりをかけた部分はウレタンコーティングが剥げますので、ラストリムーバーを塗っておきます。
さて、ラッピングですが、サーモンロッドに合う太いスレッドで、GudebrodのNCPでサイズはDを使いました。カラーブリザーパーを塗る手間も
省けますので、作業効率も上がります。それでもバットセクションとミドルセクションで5時間くらいかかってしまいました。ラッピング終了後に
エポキシコーティングの1回目、かなり薄めのはけ塗りをおこない、翌朝までモーターにかけておきます。
2009.11.22最終回
・ガイドのラッピング・コーティング・ミッドセクションの補修(その2)
レストア作業最終段階その2を報告します。この2週間ほぼ2日に1回のコーティング、その間にトップセクションへガイドラッピンングと
トップガイドの接着をおこないました。コーティングは合計4回おこなったことになります。
理由は、ラッピング・スレッドのささくれ処理に手こずったためです。ガイドの強度を考えてスレッドの太さをDサイズしたこと、
ガイドの大きさ、フェルールの太さなどの関係から通常のロッドに出来るささくれより大きくなってしまい、その処理に時間を要してしまったからです。
4回のコーティングのうち3回は薄めのコーティングをハケで塗り、硬化確認後にささくれをやすりでなめらして再度コーティングをおこないました。4回目のコーティングは、エポキシうすめ液をこれまでの半分程度程度に減らし、楊枝を使ってエポキシをこんもり盛り付けるような感じで少々多めにコーティングをおこないました。
目安としては、コーティンング後の状態が何となく湾曲になっているかを確認する必要があります。この作業でほぼ10日間かかってしました。
今週、最後に残っていたミッドセクション上部にあったクラックの補修作業として、黄色のスレッドで約1cm程度ラッピング、コーティンングを3回ほどおこないました。この作業で8月末より開始したレストア作業がようやく終了しました。
このレナードサーモンロッドは当初それほどレストア作業に時間を要しないで完成すると思っていましたが、フェルールの交換に思いのほか手こずり、ほぼ3ヶ月かかってしまいました。特に、ミッドセクション下部のフェルールを取り外すのに1週間も要し、外せない場合は切り落とすしかないかなとギリギリのとことまで悩んだ作業でしたが、外せた時の感激は涙ものでした。さて、いよいよこのロッドを使って試し振りを12月におこない、状況をブログへUPする予定です。
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