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1890年代初期のLeonard 11feet

2009.3.15
1894年William Mills & son社のカタログによると、Leonard Trout and Bass Fly Rodは10〜11feetまでの4モデル、$80.00で販売されていました。

初期のLeonardの特徴は、極端なスウェルバット、ラタングリップ、ジャーマンシルバーのリールシート、フリップリングガイド、赤の段巻でした。
そして、リールシートにはH.L.Leonard MAKER W.Mills&Son N'York Sole Agentsと刻印されています。


私の入手出来たレナードは全長が337cm、4モデルのうち2番目の11feet 3 inch、
コンディションは次のような状態でした。
・全体のヴァーニッシュを剥離してブランク状態
・3ピース2トップ、一方のトップは17cmショート
・ガイドが全て欠損
・フェルールの一部はがたつきがあり、再接着する必要あり

この歴史的価値のある初期のレナードを何とかレストアし、実釣コンディションヘ近づけるレストアを開始する事にしました。


2009.3.28
・フェルールのピン抜き


レストア作業を開始しました。レストア作業で一番苦労するのは間違いなくフェルールを取り外す作業です。
この当時のフェルールは、まだ接着剤の強度がしっかりしていなかったからなのか、フェルールにピンを打ち付けて
強度を保っていたと考えられます。

このピンを抜くには特殊のピン抜きが必要ですが、2007年に特殊なピン抜きを探し出してからはかなり容易にピンを
抜くことが可能になりました。ピンを抜くには、まずピンの位置を正確に探し出さなければなりません。

フェルールに 蛍光灯の光を当てたり、直射日光を当てたりしてピンを探し出します。上手く探し出せたら、ピンの上にピン抜きを
正確合わせてハンマーで叩くだけです。慣れてしまえば僅か数10秒でピンを抜くことが可能です。
ただし、ハンマーで叩く際に気を付けなければ、ピンがずれてフェルールにキズが付いてしまいます。


2009.4.04
・フェルールの取り外し


レストア作業の最大の山場を迎えました。

フェルールの取り外しが完了しないままでレストア作業を進めると、フェルールとブランクの接合部分はやがて緩み始め、
カクカクと音がする状態を過去何度か経験しています。フルレストア作業では、フェウルールの取り外しは省略出来ません。

さて、フェルールの取り外し作業は、ヒートガンとソフトタッチプライヤーを使います。1分程度フェルールの接合部分を熱し、
ソフトタッチプライヤーで少しずつねじりながら上下に動かします。この作業を5〜10回程度おこなうと、
フェルールは少しずつ緩み始めます。

ソフトタッチプラヤーの先端部分は熱で少ずつ解け始めますので、数秒間おこなったらしばらく作業を中断します。それでも、
ロッド1本分のフェルール全体を取り外すと、先端部分は熱で溶けて変形してしまいます。フェルールにキズを付けない
為に、毎回新品に交換する必要があります。

使い捨てと考えるしかないでしょう。バットセクションのフェルールは大きさから特に時間を要しますが、
概して10〜15分程度でフェルール1本の取り外しが完了します。全体のフェルール取り外しが完了したら、
接合部分以外のフェルールをNEVERDULLを使って錆びやクスミに磨きをかければ完成です。


2009.4.11
・ブランクの剥離
レストア作業も3回目に入りました。 週末わずかな時間でのレストア作業なのでなかなか効率良く進みません。
毎回地道な作業をおこなっていくしかありません。


さて、ブランクの剥離は、市販の剥離剤と燃料用のアルコールを使います。まず、剥離剤を小さな瓶へ小分けして綿棒を 浸けやすい状態にします。
バットセクションのグリップだけは当時のラタングリップそのままを使いますので、剥離剤が染み込まないようにマスキングを施します。

手始めに、バットセクションのメルトダウンが激しい箇所へ剥離剤を漬け、ヴァーニッシュの溶かし具合を確認します。ヴァーニッシュの溶かし具合は
すこぶる良好、まるで新品のブランクのような状態になりま した。そこで、一気に剥離剤をバットセクション全体に塗り、数十秒後にティッシュで拭き取ります。

古い年代のヴァーニッシュ ほど溶け出して、ドロドロな状態になります。更に、ティッシュにアルコールを染み込ませ、ブランク全体を拭き上げます。
この作業では、剥離剤で溶かし残したヴァーニッシュをアルコールで残さずに拭き上げ、そのままコーティング出来る 状態へブランクを仕上げます。

本来は、この後に細かなサンドペーパーでブランクを磨き上げればより良いのですが、 サンドペーパーによって段巻の跡が消えてしまいますので
この作業はおこないません。設計図を書いてのレストア作業も可能ですが、1mmの範囲に段巻が5〜6回転の段巻をすることまで正確に設定図へ
描くことは、手作業の限界を感じてしまいます。しかし、剥離剤+アルコール洗浄で100%近くブランクを蘇らせることは可能ですので、素人の
レストアとしては十分過ぎると 考えます。2〜3日ブランクを乾燥させ、新たなコーティング作業を次回おこなう予定です。


2009.4.18
・ブランクのコーティング
レストア作業も4回目に入りました。来週までにはフェルールの再取り付けが完了出来そうです。


ブランクのコーティングはこれまで何度も実績のある「簡易ディッピング」によるコーティングをおこないます。
この簡易ディッピング作業での注意点は、厚みのあるゴム手袋を使うことです。過去に100円ショップで購入した手袋を使用し、
ディッピング最中にコーティング液が漏れ出した事を何度も経験しました。

ディッピングには以下の2通りが考えられます。

@の方法
・ブランクの細い部分を上向きにして、上から太い部分へとコーティングカップを下げながらディッピングをおこなう方法。
この方法では、ディッピングカップのゴムは太いブランク方向へ下げると徐々に伸ばされていきます。この際にゴムが裂けて
コーティング液が漏れる可能性があります。
Aの方法
・ブランクの太い部分上向きにして、上から細い部分へとコーティングカップを下げながらディッピングをおこなう方法。
Aの方法では、ディッピングカップのゴムは細い部分へ下げる際にゴムに隙間ができ、そこからコーティング液が漏れる可能性があります。

いずれの方法でも、最悪漏れることがありますので細心の注意が必要です。 私は、これまでの経験から必ず厚手のゴム手袋を
使うようにしています。そして、@の方法を用いて、細い部分から太い部分へカップを下げる方法を採用しています。ゴムは徐々に
伸ばされていきますが、厚手のゴムなので、多少耐久性があり、そう簡単にはゴムが裂けないようです。

さて、ディッピングの手順ですが、このブランクの形状はジョイント部分を入れるた為の穴が開けられています。 この内部の腐食と
防水加工として、この穴の部分にもコーティングすることにしました。その後にブランク全体のコーティングをおこないます。
コーティングは2回おこなうこととし、1回目は主液1、副液1、うすめ液6割合でおこない。2回目は主液1、副液1、うすめ液3の割合
でおこないました。全体がテカテカにならないような配合だと考えています。
全体のコーティングをおこない、3日間乾燥させてから2回目のコーティングをおこないます。


2009.4.26
・フェルールの再取付
レストア5回目でフェルールの再取付をおこないます。この作業が完了するとレストアの第一段階が終了し、全体のベースとなる部分
までの補修が完了したことになります。


フェルールの取付にはエポキシ系のボンドを使っています。取付の前準備として、取付部分以外にボンドを塗ることがないように境目
にマスキングをおこないます。次に、フェルールをブランクの間に隙間なく取付る為にボンドをブランクへなみなみと盛り付け、フェルー
ルを徐々に押し込みます。

これで余分なボンドが押し出され、隙間なくぴったりと取付けることが可能になります。ボンドだけで十分な強度を得る事が出来ますので、
ピンを再度入れる必要はなくなります。ミッドセクションボトムのフェルールだけは刳り貫いた形状ですので、防水の為にボンドを流し込み
表面のコーティングを施しておきます。

全体の作業完了後、はみだしたボンドを綺麗に拭き取り、マスキングを取り外して一晩硬化させれば完成です。翌日フェルールの挿入状態を
点検しましたが、ぴったりとした挿入と引き抜く際のポップ音が確認出来ました。やはりレナードのフェルールは当時から高品質だったようです。
また、全体を繋ぎ合わせロッド全体をシェ
イクしてみましたが、レストア前に確認した一部フェルールのがたつきは完全に解消していました。


2009.4.29
・段巻きのラッピング(その1)
段巻きのラッピングを開始しました。元々段巻があった場所や段巻の太さが不明な部分があり、オリジナルな状態に近づけるのに困難を極める
作業ですが、5月の連休を使ってレストア作業のペースを上げたいと考えています。


段巻のラッピングは、ブランクに残った微かなシミを頼りに先ずマスキングをおこない、段巻をおこなう場所の特定をおこないます。

バットセクションはほぼ完璧に段巻のシミがの残っていました。しかし、段巻の太さ若干のばらつきがあり、このまま忠実にラッピングを
おこなうと段巻の太さにむらが出てしまいます。そこで、全体の太さのうち、一番太さの数が多い段巻の太さを全体の太さと固定するにしました。

また、ワインディングチェック上部のラッピングは、ジャンクパーツとして手持ちのレナード10feetの段巻を参考にしました。スレッドはGudebrod社の
シルク0595を使い、何回転で同じ太さとなるかの試し巻きをおこなってみました。ノギスで参考とする他のレナードの太さを測り、その長さを固定して
おきます。

その太さに合わせて段巻をおこない、同じ太さとなるまでラッピングの回数を数えながら試し巻きをおこないました。ワインディングチェック上部は20回転、
その上が17回転、他の上部は11回転で巻き上げることにしました。色の変色とラッピングの緩み防止を兼ねて段巻を巻き上げる度にカラーブリザーバーを
塗りながら、何度も地道な作業を繰り返しおこなっていきます。


2009.5.6
・段巻きのラッピング(その2)
バットセクションは問題なくマスキング出来ましたが、ミッド・トップセクションは段巻のシミが薄くマスキング作業にはかなりの苦戦を強いられてしまいました。


ミッド・トップセクションの段巻2/3程度が極端に薄く、直射日光に当てもはっきりせず作業が進展しません。やむを得ず、手持ちにある
1894年Mills & Son社のカタログに掲載されているレナードのイラストから段巻を数え全体のレイアウト図を把握してマスキング作業を
開始することにしました。

・ミッドは、上部より4段までが段巻き4段、最下部が段巻き3段です。
・トップは、上部より6段までが段巻き5〜6段、最下部が段巻き4段です。(一部カタログでも不鮮明でした。)
最初に見える箇所の段巻きをおこない、見えない箇所はマスキングをした部分からの長さを測り、仮のマスキングをおこなう方法で
少しずつ全体を仕上げていく方法で作業を進めていきます。

この方法でミッド・セクションはカタログと同じ段巻数にピッタリであった ことが分かりました。しかし、トップセクションのシミ跡は、
17cm短い方に1/2残っていますが、一方のティップには薄くて殆ど分からない 状態です。そこで、先ず短いティップ・セクションの
マスキングおこない、分からない箇所は前後の長さから判断してマスキングをおこなう 事にしました。

ティップセクションはカタログとは異なり、2段目、4段目の段巻が8段であったことが分かりました。このロッドの長さは、
4モデルのうち2番目の長さであったことから、この部分の段巻数で調整してあったと想定されます。正確な段巻を再現する為には、
当時のカタログや各セクションのパーツのいずれかがあれば、段巻が落とされた後の状態であってもフルレストアは可能だと思います。
ここまで1日かけて何度もマスキングをし直し、やっと出来上がりました。

・ミッドル→>全て11回転
・トップ→7回転、上部5回転
2日間かけて一気に巻き上げていきました。


2009.5.16
・フリップリングガイドの製作(その1)
このレナードは、フリップリングガイドは全て欠損してます。 やむを得ず真鍮棒からほぼ同じ大きさのガイドを作成することにしましたが、
その製作には5月の連休中の2日間を費やしてしまいました。


幸い、ガイドは以前レストアしたMills Standard Bambooのフリップリングガイドが手元にあるので、このガイドの寸法を参考に製作する
ことにしました。今回の作業の為に入手したデジタルノギス(ヤフオクで900円)で外形を測ってみると、経年の為か全体の寸法はバラバラ
でした。外形は大は7.7mm、中は7mm ,小は6.5mm、最小は5.4mm 厚さは全体がほぼ1.0mmで肉厚は0.8mmとほぼこのような結果で
した。

次に、東急ハンズで真鍮棒の規格を調べてみましたが、これらにぴったりの規格はなく、一番近い直径が8mm、6mm、5mmで太さ
で、肉厚が0.5mmの真鍮棒を購入してきました。また、カッティング作業を考慮して、ホームセンターでディスクグラインダー&スタンドセット
(3,980円)を購入してきました。作業としては、カッターで1個7mm程度に切り落とし、グラインダーで切断面を滑らかに削り落として4mm
程度まで仕上げておきます。その後ダイアモンドやすり、800〜2000番までの紙やすりで更に細く・つるつるになるまでまで仕上げていき
ます。

最終仕上げの寸法ですが、大物が掛かった際の張力でガイド破損とならないよう全体をやや太く、1.2〜1.4mmに仕上がるようノギス
で何度も測りながら仕上げていきました。1個当たりの作業時間は、最初は1時間かかりました。途中から作業も慣れてきましたが、
それでも1個当たりの作業時間は30分程度かかってしまいました。2日間かかって合計21コのフリップガイドが出来上がりました。


2009.5.23
・フリップリングガイドの製作(その2)
今週はリングガイドを固定する金具の製作をおこないました。 リングガイドと同様にMills Standard Bambooの金具を参考に
作成することにしましたが、部品探しは結構苦労します。


参考とする金具の素材は、ストリッピングガイド部分に当たる一番大きなガイドを止める部分は真鍮で、 経年の結果の為に正確な寸法が分かりませんが、
おおよその長さ18mm、太さ2.10mm〜1.00mm、肉厚0.87mm、他はアルミで長さ13mm、太さ1.40mm、肉厚0.39mmです。

本来は、真鍮の平板にプレス加工を施せば簡単に作成出来るのですが、プレス加工するための プレス金型を作成しなければなれならず、現実問題として容易ではありません。

先ずは、製作に当たりホームセンターの資材売り場1mm程度の平板を探してみましたが、薄い規格でも2mmまでで、大きめなサイズしか扱ってませんでした。しかし、プラモやクラフト関連のホビー売り場では1mm程度の平板を見つける事が出来ました。最薄サイズで、0.5mm、1.0mmで5cmX10cm程度の手のひらサイズのものが扱っていました。やはり、大規模なホームセンターでは探しているもの大半の部品を入手する事が可能でした。結局、1.0mm、0.5mm両方の平板を購入し、製作後の状態を比較してどちらを使うか検討する事にしました。(価格は各304円でした。)

さて、私がおこなった製作工程ですが、ペーパーカッターを使って3mmX23mm程度に切り落とします。しかし細く切り落と為に丸まってしまいますので、ハンマーを使って万力の上などでほぼ真っ直ぐになるよう叩きます。その後、任意の太さのピンポンチをペーパーカッターの上にマスキングテープで固定しておきます。真っ直ぐに伸びた部品をピンポンチの上に置き、そっとマスキングテープで両サイドを止めておきます。

ピンポンチを挟んだ両サイドへドライバーを当ててゆっくり押し当てます。これで簡易的なプレス加工が出来た事になります。この作業を0.5mm、1.0mmの平板両方でおこないましたが、1.0mmの方が簡易プレスが困難である事がわかりました。この作業程度で綺麗に作れるのは1.0mmでは厚すぎるのかもしれません。1個の当たりの作業時間が1〜2分ですので、あっと言う間に完成してしまいます。完成後はダイアモンドやすりで表面の研磨と全体の幅・長さを調整すれば完成です。


2009.5.31
・段巻きのラッピング(その3)&コーティンング
ガイドの製作が一段落したので、段巻きのラッピング&コーティングを再開させました。 ただし、一方のティップは段巻きのシミ跡が殆ど残ってませんので、やむを得ず一方ティップを完成させてからそれを真似て段巻きをおこなうこととしました。


既に、段巻きのレイアウトはマスキングテープで正確に決めてありますので、ここに沿ってラッピングを開始してきます。
バットセクション、ミッドセクションは段巻きのラッピング回数が多いので特に問題なく作業はスムーズに進みますが、
特にティップの段巻き作業は慎重におこなわなければなりません。

段巻き単位完成後にカラープリザーバーを塗って色の変化と 段巻きの緩みを防ぐやり方で作業のミスを軽減させていきます。
ラッピングが完成後に再度カラープリザーバーを塗って二晩乾燥 させておきました。私はこの段階でマスキングテープ全体を外し、
再度0.5mm程度の空間を空けて再度段巻きの前後にマスキングを おこないます。

これは、段巻きへのコーティングをおこなった際に、コーティングが段巻きを包んだような状態とコーティングが段巻き から極端には
み出さない事に期待したい為の方法です。1回目のコーティングは1:3程度に薄め、刷毛で薄く素早く塗り上げます。
マスキングテープは段巻き単位に塗った段階で直ぐに外し、モーターで半日程度回しておきます。


2009.6.6
・段巻きラッピングのささくれの補修
段巻きのラッピング後にカラープリザーバーを塗って乾燥させた後に、先端の細いはさみでぎりぎりのところで切っているのですが、
コーティング後にどうしてもささくれ(切った跡の盛り上がり)が出来てしまいます。これを防止するにはラッピング・スレッドをかなり細くする必要があります。


当時レナードで使用していた極細のいシルクのスレッドを入手すれば良いのですが、(一部のプロショップで扱っているらしいです。)
金額が高いので一般のスレッドを使った結果ささくれとの戦いとなってしまいました。 ささくれの補修方法は、やすりで滑らかにして
再度コーティングを薄く塗り、再度やすりで滑らかにする方法を数回繰り返す方法か、やすりで補修した後に少々こんもりと塗る方法が考えられます。

私はかなり薄めのコーティングを塗り、乾燥後にやすりで滑らかして再度薄めのコーティングを数回塗るようにしています。それは、仕上がったコーティング部分の段巻きを触った際、極端な盛り上がりがどうしても好きになれないからです。段巻きへ数回コーティングするには更に何日間もかかりますが、辛抱して作業を継続しました。


2009.6.13
・ティップの補強
ティップの一方は17cm短く、複製を作るには少々時間がかかりそうなので作業を先送りする事にしました。また、もう一方のティップは先端からは5cm程度の6角のうち3角が剥がれている状態です。幸いこのティップは長さが短くなってないので剥がれた部分にティップのジャンクで「あて木」を作成して修復することにしました。


補修の方法としては、まずティップの剥がれた部分をやすりで凹型に削り、あて木が入れ易くなるように修正しておきます。次にジャンクのティップをほほ同じ長さに切り落とし、仮止めをした際に3mm程度盛り上がる状態でエポキシ系のボンドで接着します。ぴったり接着させるには更に糸でバインディングと万力で一晩中圧力をかけ、接着後に接合部分の凹凸部分にエポキシで盛り上げ、更に一晩モーターで回しておき無事に複製の外観が出来上がりました。

仕上げはルーターで盛り上がり部分を削り落とせが完成です。レストア作業もそろそろガイドのラッピングで最終段階を迎えそうです。6月中完成を目指してましたが、段巻きのラッピングとガイドリング作成に時間が思った以上かかってしまい、あと1ヶ月程度かかりそうです。


2009.6.20
・ティップの補強(その2)、ブランクの最終仕上げ、ガイドのコーティング
今週は会社の帰りに毎日1時間づつ作業をおこない、ガイドのラッピング前の最終準備を終えることが出来ました。 先ず2日間で補強
ティップの仕上げ、更に2日間でバット・ミドルセクションの最終サンディング、最後の 全体のコーティングをおこないました。


補強ティップは棒やすりで凹凸を滑らかにし、800〜2000番のサンドペーパーで全面仕上げをおこないました。 補強ティップ直前の
ブランクの太さは1.19mm、補強ティップは2.68mm、全体の上下で0.75mm太く仕上げました。この方法で将来補強ティップが折れる
可能性は低くなったはずです。

一方、バット・ミドルセクションとも最初のコーティングでは段巻の跡を消せない為に全体を剥離剤だけで仕上げましたので、
再度コーティング後の段巻きマスキングをおこない、ナイフでブランクの僅かなきしみ・汚れ・傷を削り落とし、
更にサンドペーパーで仕上げ、3回目の最終コーティングをおこないました。このコーティングの結果ブランクは見違えるほど綺麗に
仕上がってきました。同時にラインの滑り良さを考慮してリングガイドも2回コーティングをおこないました。


2009.6.27
・リングガイドの取り付け、ラッピングのコーティング
ようやくリングガイドの取り付け作業を開始する事が出来ました。段巻きの跡は一部不明箇所がありましたが、どうにかラッピング出来
る程度でした。しかし、ガイドを取り付けてあった跡はブランクにはありませんでした。そこで、ガイド取り付け位置直前の段巻きの長さ
をノギスで測り、その長さがガイドの前後になるようにラッピングをおこなう方法でおこなうことにしました。


作業としては、バットセクションとミッドセクションのラッピング位置をマスキングテープで印を付け、全体を完成させておきます。
更に、全体のレイアウトを少し離れて眺めながらマスキングテープ位置の微調整をおこないます。ガイドの取付金具は少々薄いので、
全体の幅を若干長めにすることで強度を持たせるように工夫をしました。

完成後カラープリザーバーを1日ごとに2回塗り、更に2日間
乾燥させてからエポキシコーティングをおこないます。ここで注意した点は、リングガイドにエポキシが流れて固まってしまわないように
楊枝を使ってガイドを上部に固定させてからコーティング作業を開始しました。また、コーティングは楊枝を使って少々こんもりぎみに
モーターで回転させながら一気に塗っていきました。


2009.7.1
・ティップの段巻きのラッピング(その3)
補強したティップのラッピングを開始しました。このティップは段巻きの跡が殆ど残っていません。中間当たりで2〜3ヶ所、上部8ヶ所のみです。
そこで、先ず中間点の跡の見える2ヶ所をマスキングし、他の部分は既に巻き上がっているティップと同じヶ所にマスキングをおこなう方法で作業を進めていきました。


作業としては、一方のティップに沿ってマスキングをおこない、そのテープを強く引っ張りながら作業中のティップにテープを巻きつけます。段巻きのレストア作業をおこなう際、2ティップがあることでどうにか段巻き位置を固定することが出来ました。ティップの段巻き作業で気をつける点は、ラッピング直後にスレッドが緩んでしまいますので、スレッドは長いままの状態でカットして、強く引っ張った状態でカラープリザーバーを塗りながらスレッドを固めていきます。

スレッドへ2回程度カラープリザーバーを塗り、乾燥後にスレッドを強く引っ張りながらカットすれば結構綺麗に仕上がります。次回でいよいよ初期のレナードが完成しようです。完成と同時に近場で実釣テストをしてみようと考えています。


2009.7.4(最終回)
・ティップのガイドラッピング、コーティング(その3)
ティップにガイドを取り付けを開始しました。ティップも他のセクションと同様にオリジナルのガイド取り付け位置は不明です。先ず、
ガイド上下の段巻きの長さを測り、前後の段巻きの長さと均等になるようガイドのラッピング位置・長さを仮に決めて全体を眺めて
みました。


しかし、この方法ではラッピングの長さは全体がばらばらで、見た目にもおかしい感じがしました。そこで、1894年のカタログに
掲載されていたイラストをスキャナーで取り込み、ディスプレーで拡大した上でノギスでラッピングの長さの比率を測りました。
この比率を11feetのティップに合わせて全体の長さを計算してみました。トップから14.66mm、15.17mm、15.30mm、15.57mm、
17.92mm、18.22mmこの方法でラッピングをおこないました。

一方コーティングに関しては、段巻きの間隔は更に短くなっていますが、 これまでの方法と同様に0.5mm程度空けてマスキングをおこないます。
この段巻きに沿って楊枝でコーティングを塗り、30分モーター で回してからマスキングを外します。これにより、コーティング液の広がりを最小限に
抑えることができました。やすりでささくれを 滑らかにして2回目のコーティングをおこない、3ヶ月に及ぶフルレストア作業が完了しました。

ロッド全体の仕上がりは満足いく状態ですが、細部の微調整はまだまだ必要です。機能的には、ほぼ実用可能な状態となっています。
週末に近場で試し釣り・振りをおこなってきました。ロッドアクションはスロー、ラインは6番程度でした。

古いバンブーロッドをキャスト していて常に感じることですが、現在のカーボンロッドのようにフォルスキャスト何度も繰り返すような設計ではなく、
ラインをピックアップ して、スローにフォワードキャストをおこなうだけのロッドのように思えることです。このレナードもその事を強く感じました。
115年前の ロッドですが、これからも大事にケアーしながら実釣に活躍させようと考えています。



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