inserted by FC2 system
Hrady LRH Dry Fly

2009.12.20
Hrady LRH Dry Fly (シリアルナンバーE87727 1953年製造)は今から4年前に入手し、一度管理釣り場で試し振りをしたことがあります。
振った際には、適度な硬さとキャスティング性能のあるロッドで、ラッピングピングは少々色あせるていますが、仕上げ後には緑と赤のラッピングが
美しくなるとの期待の持てるロッドだとの印象を持ちました。その間、数本のLeonardやSouth-Bendを入手し、レストア作業を後回しにしていました。

毎年、今年こそはレストアしようと考えていたのですが、2本のLeonardも無事に仕上がったので、いよいよHardyのレストアを開始することにしました。


このレナードは全長が266cm、8.87feet、コンディションはこのような状態です。

・パーツの欠損は、ガイドが2本折れている。
・コルクグリップはリプレースが必要
・フェルールの結束状態は良好で、ガタツキもない。
・ヴァーニッシュは重ね塗りさた状態で、全て落として再度コーティングする必要あり。


2009.12.27
・コルクの取り除き、コルクリングの加工(その1)


古いコルクはプライヤーを使って毟り取り、その後やすりを使ってわずかに残ったコルクを綺麗にサンディングしておきます。こうして、ようやくリールシートの金具が現れてきました。バッドセクションと金具はネジで止められていました。この金具はコルクで隠れてしまいますが、ネジを外してクリーニングを施します。Never-Dullを使えば短時間で磨き上げることが可能です。

しかし、この段階で、コルクグリップ加工の難易度を判断して少々ため息をついてしまいました。と言うのは、グリップ部分の太さは5段階に分けれているので、各セクションごとにコルクリングを穴の形状を前もって加工し、その後接着しなければなりません。こういう部分の判断は、ロッドをばらばらにしてからでないと分からないので、加工されたグリップが使えない理由のひとつです。レストアは非常に根気のいる作業とだと思いますが、いろいろ作業工程を練りながら試してみる楽しみ方もあるかもしれません。

私がおこなった工程は、先ず完成後のグリップの形状にリングを並べて番号を書いてきます。次に、金具の幅に合わせてコルクリングをナイフを使ってスライスし、サンドペーパー(800,1500,2000番)を使って滑らかに仕上げておきます。その後、金具をリングに当ててマジックでなぞります。この部分に沿ってルーターで余分なコルクを削り落としていきます。加工後の金具がコルクにぴったり入る状態を確認し、仮の位置を確認しておきます。

更に、金具の前の2・3段階に合わせてさらにコルクの穴をルーターで削っていきます。この段階で、コルク3コの接着だけをおこないますが、グリップには固定しません。理由は、コルクリングは先ず数個を圧縮して1本にして、つなぎ目を綺麗にする必要があるからです。グリップにリングを「仮留めした状態でグルーの塗り、リングとリングの間をマジックでマーキングしておきます。10分程度このままにしてから一度バットセクションからコルクの位置がずれないように取り除き、金属棒のネジ、ナット、大きめなワッシャーを使って一晩圧着しておきます。


2010.1.3
・コルクリングの加工(その2)


今回の手順としては、先ずリールシートに合わせたコルクの接着をおこないます。その間に残りの9コのコルクを接着し、圧着しておきます。圧着により穴の位置はわずかなズレが発生しますので、接着が確認できた段階で再度ルーターを使って内部段差を滑らかに削り、コルクの挿入可能な程度の大きさになるまで微調整をおこないます。完成後の9コのコルクは接着せずにバット部分へ仮に挿入し、サンディング作業へ移ります。(接着しない理由は次回詳しく説明します。)

これでいよいよ自作のコルクグリップシェイパーを使ってグリップの形成加工を開始します。事前に大小のコルクを組み合わせ、完成形に近づけて接着してありますので、その形に沿って滑らかに削れば大体の形が出来上がるようになっていいます。掃除機での吸塵作業と棒やすりでのサンディング作業を同時におこなっていますが、特に難しい作業ではありません。数回この作業をおこなえば誰でもおこなえると思います。大体の形が出来たら紙やすりの250番を使って一気に削っていきます。仕上げは800,1,500,2,000番を使って更に滑らかにしていきます。途中でノギスを使ってコルク単位の長さを測り、設計図の寸法+2mmまでに仕上げておきます。


2010.1.10
・コルクリングの加工(その3)・ヴァーニッシュ剥離


コルクグリップシェイパーを使っての加工がほぼ完了しましたので、この段階で再度コルクグリップを抜き取ります。 本来はグルーでバットセクションへ接着してからシェイプするのですが、@接着後にシェイプを失敗するとコルク全部を取り除く必要があり、念には念を入れシェイプの完成形を見届けたいこと、Aグリップ前のラッピングとコルクの境界線を綺麗に仕上げたいこと、Bグリップ内部のブランクへ腐食防止処理をおこないこと、以上の理由から一度取り除くことにしました。取り除いたコルクの前面をサンドペーパーで最終仕上げをおこなっておきます。

その後、シェイプの目印として残していたラッピングを取り除きます。この段階でシグナチャー以外全てのバーニッシュを剥離剤を使って取り除きます。ティシュで剥離剤を拭き取り、最終仕上げとしてアルコールを使ってわずななヴァーニッシュの残りを拭き取り、更に800,1500,2,000番のサンドペーパーを使ってブランクを滑らかにしおきます。翌日からブランクのヴァーニッシュを刷毛塗りで3回おこないます。バットセクションにはコルクで隠れる部分なので今後の腐食状態が確認出来なくなります。ここには特に並々塗っておきます。

混合比は@4:4:20、A3:3:12、硬化を確認後に再度サンドペーパーを軽くかけます。B3:3:10、私は、は2回目のコーティング後に更にサンドペーパーをかけます。これはブランクを更に綺麗に仕上げられた経験からこの方法をおこなっています。ヴァーニッシュ硬化確認後に再度コルクグリップを挿入し、上部ラッピンングとコルクとの境界線にマーキングをおこない、この境目下5mmよりラッピングを開始します。

これでコルクを最終接着した際に境目がより綺麗に仕上げることが出来るようになります。ラッピングに間に合うよう赤・緑のカラーチャートも作りましたので、切り落とした スレッドと見比べて近い色を選びます。今回使ったスレッドは、オリヅル印の絹ミシン糸50番のNO30,10を使いました。ラッピング後にエポキシコーティンングを2日間に分けておこない、2日目は楊枝で全体に広げていきます。ここまで工程をおこないたいために、コルクグリップをあえて接着せずに何度も仮挿入していましたが、やっと本番の接着工程をおこなえます。

既に、グリップ接合部分にはマーキングをしてありますので、この部分に合わせて両方のコルクと上部のスレッドへマスキングをおこない、エポキシグルーを使って張りあわせをおこないます。翌日コルクの硬化を確認後、コルク上部のスレッドへ再度エポキシコーティンングをおこない、最終のコルクシェイピンング待ちとなりました。


2010.1.16
・コルクリングの加工(その4)、ラッピング(その1)、ガイドの補修


年末から一番時間がかかったコルクグリップも無事にバットセクションへ接着が完了しましたので、グリップの最終シェイプをおこないます。大まかな形までは完成しているので設計図を見ながらシェピングをおこない、時折作業を中断してはノギスで太さを確認しながら少しずつ細くしていきます。

中心部分の盛り上がりが3mm太いので、この部分全体を滑らかにするような感じで全体を仕上げていきます。大半の作業は800番のヤスリを多用し、仕上げは1,000、1,500、2000番で更に全体を仕上げていきます。完成後の状態は、自分ではまあまあだと思います。一番神経を使ったリールシートのフット挿入部をコルクで覆い隠す部分は、コルク幅2mmで仕上がっています。ここまでの作業は、細すぎて完成品のコルクグリップでは破ける恐れがあるので無理だったと思いますし、シェイパーの威力が大きかったと考えます。

さて、作業はいよいよ終盤のラッピング作業に移ります。赤と緑のコントラストが美しいこのラッピングは少々手間が掛かります。赤のラッピングはバット・ミドルセクションは7回、トップセクションは6回転で仕上げる予定です。これまで段巻きのロッドを何本もレストアしてきましたので、ラッピンング回数は最低3回転までは何とか作業が出来ている思います。

今回のラッピング作業(6〜7回転)はさほど困難な作業ではありませんが、1ガイド当たりの作業時間は約3倍近くかかってしまいます。根気の入る作業ではないでしょうか。先ず、ラッピング作業はバットセクションのみ完成させ、その後ガイドの錆び落とし・コーティング作業に移ります。ガイドが全体に錆びがひどいのでルーターを使って削り落としていきます。

作業時間は短時間済みます。その後ラッカーで色をつけ、ウレタンコーティングを2回施し乾燥させておきます。ガイドは2本折れてしまっていますので、ジャンクパーツからイングリッシュ・リバース・ツイストガイドを探し出し、同程度の大きさのガイドを代用しました。


2010.1.23
・ラッピング(その2)、コーティング(その1)


レストア作業もいよいよ最終段階に入ってきました。先ず、ラッピンングが完成したバットセクションへ1回目のコーティンングをハケで薄く塗っておきます。今回は、ラッピング完了後のスレッドを伸ばしたままで、引き出した部分1cm程度にもコーティングしておきます。その間にミドルセクション・トップセクションのラッピングをおこないます。

このラッピングは少々手間がかかるので、会社帰りに毎日ガイド2コ分をラッピングしましたが、1週間ほどかかってしまいました。事前に設計図を作っていたのですが、ブランクに薄っすらとラッピングとガイドの跡が残っていたので、この部分を頼りにマスキングで正確に位置を固定させ、ラッピングをおこなっいました。

ところが、完成後に机の上に各セクションごとに並べて、各ガイドの位置やラッピングの太さに不自然さがないかどうか最終点検をおこなったのですが、トップセクションのトップガイド下とその下のガイドのラッピングが不自然で、どうしても気に入りません。

見た目ではバットセクションからトップセクションに至るまでラッピングの太さは少しづつ細くなるか・均一の太さであるべきものだと思うのですが、このトップセクション上部のガイドはそれが逆転していて、一番上部の太さが少々太いことに気がつきました。

ラッピングの太さはブランクに残った跡に沿っておこなっているので間違いはないのですが、この部分だけは修正する事にしました。修正方法は、トップのラッピンングの太さを測り、その長さと同じ長さに修正することとしました。この修正作業で半日ロスをしまい、来週ラッピングが完成した金曜日は夜中の2時までラッピング作業となってしまいました。

やっと全てのラッピングが終わり、カラープリザーバーを2回塗って2日後にコーティング作業をおこないます。1回目は薄く刷毛で塗る作業はバットセクションの際と同様の作業です。ここでもスレッドは伸ばしたままで1cm程度にもコーティングをおこないました。これには訳があって、毎度悩ませるささくれ対策を試してみました。伸ばしたスレッド1cm程度にもコーティングをおこない、スレッドを硬くします。

これを強く引っ張りながら爪きりを使って引き出した部分をカットすると「ポキッ!」とはじける音がして切れました。はさみで切るようにも多少深く切れるようです。全体をカットした段階で2回目のエポキシコーティングを楊枝を使って多少こんもりぎみに塗っておきました。いよいよレストア作業も完成間近、次週は最終回となりそうです。


2010.1.26
(最終回)ささくれ処理、コーティング(その2)


ハーディーのレストア最終回を報告します。先ず、ささくれ処理ですが、思っていたよりささくれは小さかったものの、不要とまでには至りませんでした。更に効果的なささくれ処理を構築していく課題が残ってしまいました。全体のラッピングに対して最終コーティングをおこない、2日間乾燥させておきました。

最終コーティング後には、見た目でも美しい仕上がりとなったと自分では考えています。(まあ!あくまでも素人のコーティングなので、プロの方の判断ではどうでしょうかね?)最後に、ハーディーのロゴだけ残したの関係から、ロゴの上段に黄色のラッピングをおこない、ブランクと同色仕上げとなるようにノンカラープリザーバーでコーテインングをおこなっておきました。

今回のレストアはほぼ1ヶ月で終了しました。通常、細かい段巻きでフェルール交換を伴うレストアは3〜4ヶ月かかっていますので、今回のレストアは最短での完成だと思っています。早速、近場の管理釣り場でキャスティング性能や魚とのファィティング性能を確かめてみようと考えています。

Home
inserted by FC2 system