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Fred D.divine rod B648



初期のLeonard職人だったFred D.Divine氏がLeonardを離れ、New York州Yticaに設立したのがThe Fred D.Divine Rod companyでした。彼のロッドで特に有名だったのが1890年〜1900年代にかけて出されたSpiral rodで1976年発行の「Classic Rods and Rodmakers」によると高度でユニ−クなデザインが彼の特徴であると説明されていました。このロッドは私個人のバンブ−ロッド収集として、当時のLeonardに在籍した職人のロッドを特に収集している過程で入手出来ました。但しそのロッドはひどい状態のまま日本に到着しました。



今回入手したロッドを早速繋いでアクションを確かめてみると、ティップがかなり繊細で3番でも投げられそうな感触でした。実釣では4・5番のスロ−アクションだと思われます。塗装全体の状態は極度のメルトダウン、ただし段巻きはほとんど残っている、ガイドは逆ひねりガイドで欠品なし、ストリッピングガイドはメノウガイドではなく、恐らくリプレイスではないかと思われます、フェル−ルは外見上見栄えが多少悪くなってますが接合状態も問題なし。いろいろレストア方針を1週間かけてあれやこれや考え一つの方針を決めてみました。

@段巻きを全オリジナルを残す。
A塗装はディッピングで仕上げる。
Bメノウガイドを新たにリプレイスする。
C逆ひねりのガイドは全てクリ−ニングで活用。
Dコルクはシェ−ビングしてオリジナルを使用。
Eフェル−ルの状態をチェックして再接着する。

1.設計図の作成
オリジナルの状態にレストアする第一段階は現状図を残す事です。

2.リ−ルシ−トの再塗装
紙やすりでリ−ルシ−トの正面をこすり始めると次第に木の状態が良い事に気が付いてきました。更にニスで表面を仕上げると綺麗な木目が栄えてきました。このリ−ルシ−トの仕上がり方を見てがぜんレストアのやる気が出てきました。

3.一番時間のかかるブランク全体の塗装を剥がし!(約20時間近くかかった事になります。)
塗装全体はひどい状態でしたが、剥いて見るとブランクは綺麗な状態を保っていました。 バットセクションの段巻きが17箇所、ミドルセクションは30箇所、ティップは49箇所X2。 一箇所約10分間、段巻きの上下をマスキングして剥ぎ落とし、さらに紙鑢で表面の仕上げ、 会社帰りに毎日1時間かけて約1週間でバット、ミドルがようやく完成、3連休をつぶしてティップ2本を仕上げました。本当に気の遠くなる作業でした。

4.ブランクへの塗装「ディピングによる塗装」
以前フライの雑誌につるやの山城さんが解説されていた「簡易ディピング」を参考にさせて頂きました。ドラッグストア−でゴム手袋(200円くらいでした)を購入、底にテ−プで貼り付け、ウレタンの量は最小(写真の通りほんの僅かな量でバット、ミドルを処理出来ました)で済みました。本当に良く考えられた方法と実感出来ました。ディッピングの塗装は仕上がり状態が良いですね。ハケ塗りだとどうしてもハケの後が残ってしまいますが、このディッピングでは表面がつるつるの状態に仕上がりました。7.の写真でその実感がお分かり頂けると思います。

5.コルクグリップのサンディング
紙やすりの番手を3段階上げながら全体を磨きました。グリップの上部が僅かに欠けていますが、 形が珍しいのでこのままを使う事にしました。状態も良い方だと思います。

6.フェル−ルの調整
フェル−ル全体を点検すると片方のティップ以外は全て大丈夫でした。ティップ2本のフェル−ルを比較しますと僅かに短い事が分かります。恐らくティップが根本から折れ、他のフェル−ルにリプレイスされたのではと思われます。こちらのフェル−ルを繋いで上下に振ると僅かにカクカクと音が聞こえます。恐らく接着が一部剥がれかかった状態だと考え、一度外して、エポキシで再度固定し、同じラッピングを施しました。

7.ガイドの仮止め、ラッピング
ブランクが仕上がるとレストアの大部分が終了したような気がしますが、ラッピングも結構根気を必要とする作業です。ジャンク部品として以前より集めたメノウのストリッピングガイドを取り付けます。これが有ると無いとはは全体の印象がかなり変わるものです。

8.ブランクのしなり矯正
ドライヤ−で熱して直す事も可能ですが、やはり簡単なのはヒ−トガンでブランク熱する方法がベスト だと思います。以前はドライヤ−で熱していたのですが、1ヶ所に5〜10分熱しても触れないほど熱くはなりませんでした。ヒ−トガン(私は1,500Wを使用してますが)では僅か10秒足らずで、それも触れないくらいまでブランクの表面を熱する事が出来、しかもこげる事もありません。完璧にしなりの矯正をするには時間を掛ければ可能ですが、2時間くらいでこの程度まで矯正する事が出来ました。

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